学校教育リフレクション

主に学校教育を中心に綴ります。「学び」は学校に限らず、家庭、地域、社会と広く、生涯を通じて営み、人を育むものと考えています。

格差固定化の企て

コラムニストの眼 ディビット・ブルックス

「高学歴層が築く 見えない壁」

 大学卒以上の学歴をもつ層は、その恵まれた地位を我が子に引き継いできた。さらに、その他の回想の子どもが自分隊の仲間入りをする機会をせまめることも。

 我が子の後押し:出来のいい子どもを育てることに人生の中心に置いている。上位中間層の母親は、高卒の母親よりも母乳育児をする割合がずっと高く、期間もはるかに長い。自分の子孫に尽くすことは何も悪くない。

  違う階層の子どもを同じ機会から排除する。リチャード・リーブスは高学歴層が社会制度を操作する構造的な方法について詳述している。その最たるものが地域ごとの住宅の建築規制だ。良い学校や良い就職機会のある場所から、貧しくて教育レベルの低い人々を遠ざけるような住宅や建築の規制が敷かれている。

  リーブスの2つ目の構造的な障壁は、大学入試である。親類縁者が卒業生なら優遇される制度や、学びあるの旅を多く経験して育ったことが評価される入学基準、就職につながる無給のインターンシップ。米国の競争率の高い上位200も大学で70%が所得分布25%の出身でも不思議ではない。

 NYタイム誌のコラムシスト ディイビット・ブルックスは、構造的障壁よりも重要なものを指摘する。リーブスが強調する構造的障壁よりも、上位中間層とその下の8割との間に隔てるインフォーマルな社会的障壁の方が重要だと。米国上位中間層では、たまたまそこで育っていなければ判読できないような文化的記号で彩れている。それは、人が誰しも持っている、屈辱や排斥への恐れに訴えかける「お前はここで歓迎されないぞ」というメッセージである。エリザベス・カリッドハルケットは、希少な情報を持つ者しかアクセスできない慣習を確立させることだという。機会に恵まれた地域で居心地よく暮らす、正しい態度が求められる。大卒が高級食品スーパーマーケットで心地よく買い物するのは値段ではなく、文化的規範のせいである。

そして、最後に結ぶ。

 社会的地位に関するルールには、結束を促す機能があり、その他の人々を遮る。目に見えないだけに一層強力であり、それ以外の人にはその障壁が何か言い当てることも、理解することもできない。ただそこに壁があることだけは分かっている。

 2017年7月22日 朝日新聞

 

 経済的格差が、全ての格差に直結している。「子どもを産むのは母親、育てるのは社会の責任」と考える社会保障に重きを置くか、個人主義を通すか?

10年単位の視野の中で、本当の幸せを見つめ続けたい。