学校教育リフレクション

主に学校教育を中心に綴ります。「学び」は学校に限らず、家庭、地域、社会と広く、生涯を通じて営み、人を育むものと考えています。

新卒一括採用のまま?

 新卒一括採用は、新卒の時に1回だけ、採用機会が与えらる仕組み。若者は「新卒」というブランドを1回だけ与えられます。それを逃すと職のない若者が生まれ、しかも、その後も不安定な状態に置かれるのです。高度成長時代の大幅な人手不足の時代に完成した採用方式です。その時代、誰もが「どこかには採用されるだろう」と思え、終身雇用が前提で年功賃金を基本とする日本型雇用システムの入り口とも言える日本特有の形です。

 2000年からの数年は、大卒新卒者の2割強にあたる十数万人が世の中に放り出され、学生有利と言われた昨年(2016年)でも、9%の4万9千人が無業でした。「新卒ブランド」維持するために留年も辞さない、就活のために留学をためらう。就職後も安定を志向し、一度手に入れた正職員にしがみつく。就活が批判されますが、最大の弊害は、再チャレンジしにくい社会、リスクを取らない、取れない社会を生み出していること。90年代の大学進学率が約25%だったものが、昨年短大や専門学校を含む高等教育機関進学率は80%になります。かつての新卒一括問題は世代の4分の一の問題でしたが、今は8割の人が直面しています。ワンクリックで応募できる就活サイトで何十社もエントリーできるので、人気企業に万人単位の学生が群がり、不採用が増えていきます。不採用が繰り返されると、学生は自分が全否定されている気持ちになり、心が折れます。

2017年7月21日 朝日新聞 ユニオン&フォーラム 児美川孝一郎

 

 日本特有の義務教育、同一年齢での一律学習内容、質の高い人材を幅広く育成するその素晴らしさは認める。右肩上がりの経済成長をいつまで信じるのか?物が溢れる日本で将来を見通せない子どもや家族がいる事を、なぜもっと認識しないだろうか?1億円を超える役員報酬を貰っている日本企業の役員の数が今年も前年度を超えた。資本主義社会日本、どうなっていくのだろう。