学校教育リフレクション

主に学校教育を中心に綴ります。「学び」は学校に限らず、家庭、地域、社会と広く、生涯を通じて営み、人を育むものと考えています。

貧困は選択肢を失うこと

 所得が真ん中の人の半分未満である「貧困状態」の家庭の子どもは(2013年の国民生活基礎調査時点では)約300万人いた。「報道では貧困状態が特に濃いケースが取り上げられので、より多くの子どもたちが置かれている相対的貧困の暮らしぶりが伝わらない」。一般家庭の可処分所得を家族3人の場合、月34万円と算出。相対的貧困ラインはその半分の17万円として、37歳の夫婦と中学生1年生の子どもの家族の生活費を考える。「17万円という額は、福祉の制度が使えるかどうかのギリギリのライン」と考えられる。幸重忠孝さんは「相対的貧困」を考える講座を「家計簿シミュレーション」を朝日新聞(2017年7月24日)で紹介している。

 家計簿シミュレーション

住居費(賃貸マンション、電化製品購入費も)、光熱費(電気、ガス、水道)、食費、衣服費(靴下、化粧品)、教育・進学貯金(公立中学校、制服、塾や習い事、部活の費用)、娯楽交際費(小遣いや旅行積立)、通信費(スマホ、固定電話、ネット代)、交通費(車を保持する時はローン返済分も)、医療・生命保険、貯金その他

 まず34万円で家計を考える。続いて17万円の家計に移ると「食費は最低限、必要。教育費を削るしかない」「車は持てない」「貯金は無理だ」と「○○はできない」というため息ばかりが漏れてくる。居住費を減らすために、家賃相場が低い地域や部屋数の少ない物件に引っ越すなど、減らせない項目を残し、あとは削るだけ。

 17万円になるとお金は残らず、5千円、1万円収入が増えることがとても大きい生活。暮らしに選択肢がなくなっていくのが貧困。交際費も減らさざるを得ない。子ども食堂も学習支援も、食料や勉強を与える場所というだけではなく、失われていく人付き合いや居場所を作る活動でもある。

 講師である幸重さんは、”貧困は「貧しい」と「困った」が合わさった言葉。「困った」は地域の助け合いで解消できる部分はある。でも「貧しい」は、制度を手厚くするなど行政が取り組むべき課題です。”と言葉を閉じている

 

貧困家庭への認識が広がること、

同世代の8割が高等教育を受け資格や収入につながっていて貧困は連鎖していくこと、

何より、「子どもを持つことがリスク」と感じてしまうこと。

一律無償化、貸与から給与型奨学金へ、政治的な大きな取り組みは時間がかかる。

今の自分にできることを、目の前の生徒たちの将来に真剣に向き合って見つけたい。