「わかった」から理解へ
より深く「わかる」ために
心理的な能力は、それぞれ異なる神経ネットワークによって支えられている。
・視覚や聴覚、触覚を介してモノを知覚する能力
・モノの交換的位置を知覚する能力
・言語を操る能力
・数を操る能力 など
(1)大きな脈絡と小さな脈絡の理解
小さな脈絡が阻害されているのに、日常生活には支障がない。
例えば、数概念という道具的能力に障害があるのに日常生活に支障がない。
小さな脈絡はすべて保たれているのに、日常生活に支障がある。
例えば、「花に水をやる。雨の時には傘をさす。」雨降りに水やりをする。
(2)浅い理解と深い理解
文字列の違い(浅い理解)と意味の関連(深い理解)
例えば、タバコとスバコの字の違いは瞬時にできる。(浅い理解)
意味的に関連があるのか判断するには時間がかかる(深い理解)
(3)重ね合わせ的理解と発見的理解
重ね合わせ的理解:答えが自分の中に用意できる。学校教育という教育形式が代表的なものになる。学校教育が様々なモデルを教えるのは、自分の判断の基準として人生を切り開いていくためある。
発見的理解:答えが自分の外にしか存在しない、自分で仮説を立てて、検証して理解していく。
重要なのは、後者の理解である。
「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)より