学校教育リフレクション

主に学校教育を中心に綴ります。「学び」は学校に限らず、家庭、地域、社会と広く、生涯を通じて営み、人を育むものと考えています。

どんな時に「わかった」と思うか

1.直感的にわかる

 「わかった」という体験は経験の一つの形式であって、事実とか真理を知るというここと必ずしも同じではない。

2.まとまるとわかる

 解きほぐされ伝えられたものを、もう一度心の中で解きほぐされる前の心象へまとめ直す。上手くまとめられると「わかった」という感情が生じる。

3.ルールを発見するとわかる

 思考という心の営みの一つの目的は、見かけの世界(知覚心象の世界)の背後にあるルールの発見しようとすること。

4.置き換えることでわかる

 ひとつの心象だけではわかるという経験は起こりません。自分の持っている何かほかの心象と置き換えられたとき「あ、そうか」とわかるのです。

 

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)より

記憶がなければ「わからない」

 記憶を土台に、初めてわかるとかわからないとかいう心理的な反応(感情)が生まれる。記憶がなければそもそも反応(わかった)自体、出現しようがない。

記憶のいろいろ

◎意識に呼び出しやすい記憶

(1)出来事の記憶

   自分の身に起こる(移り変わる生活の流れ)一回一回の出来事を記憶する

(2)意味の記憶

   生活に必要な様々な概念や約束事の記憶

    ①ことがらの意味:意味記憶、記号知識として取り込まれるものすべてのもの

             何度も繰り返し経験することで少しずつ作り上げていく

             漢字、仮名、数字、社会共通

    ②関係の意味:事柄と事柄の関係がどうなっているのか。経験を重ね合わせ、

           そこから抜き出していくもの。

           関係を空間的にイメージできる能力が意味理解の土台

    ③変化の意味:共通特徴を持つ変化や動きを抜き出して、心象化して名付ける

◎意識に上りにくい記憶

 手順の記憶

  繰り返しているうちに脳が手順を抽出してくれる。

  日本語の文法は文法書で学ぶのではなく、日常の経験の中で自然と抜き出される。

 

 こうした記憶、意味記憶や手順の記憶を武器に、我々は新しい事実、新しい経験に立ち向かう態勢を整える。

 

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)より

     

「わかった」というのは感情なのです。

「わかった」にもいろいろある。

1.全体像がわかる。(見当がつく)

2.整理するとわかる。(分類、まとめる)

3.筋が通るとわかる。(説明する)

4.空間関係がわかる。

5.仕組みがわかる。

ここまでは、未知のことに向き合ったとき、われわれがその未知なものとどう対処するか、あるいは、どう対処できるか。に関わるわかり方です。

6.規則が合えばわかる。

原理・原則を参照し、それに乗っ取って現象を操作し整理するやり方です。これは対処するだけではなく、対象そのものをコントールするわかり方です。

 

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)より

 

思考の習慣

思考の習慣(学校を変える力:デボラ・マイヤー)

なぜそうだという事が言えるのか?       根拠の問題

誰がそう言っているのか?           視点の多様性の問題

原因は何か?                 ものごとの関係やパターンを探る

もし、状況が違えば事態はどう変わっていたか? 仮定の問題

このひとつひとつが、誰にとって重要か?    このひとつひとつが、なぜ重要か?

 

才能を引き出す方法  (才能を引き出すエレメントの法則:ケン・ロビンソン)

 才能を限定しない

 好きになる

 仲間がいる

 制約の輪から抜け出す

 メンターと出会う     メンター:認識する。激励する。支援する。伸ばす。

 年齢にとらわれない

   知能の特徴:多様性、力強く活動的、個人差が大きい

 

いじめも青少年の自殺も、学校教育における2次障害

「いじめはなくならない」という言われている中で、

  学校だけは「いじめゼロ」「いじめ撲滅」と叫んでいる。

  確かに、行き過ぎたいじめは決してあってはならない。

  いじめは学校だけにあるわけではない。

  家庭で、職場で、人が集まれば、2人のときでもいじめは起こる。

    それは笑いから始まる。

 

笑いには、3つあると(誰かが言っている?)

ウィット(人を刺す笑い)

コミカル(人を楽します笑い)

ユーモア(人を幸せにする笑い)

 ウィットは、人を刺す笑い。

 罰ゲームで笑ったり、自虐ネタで笑いをとったりなど

心の隙間に刺さりこみ、それを広げることで人からの笑いを誘う。

 その場の「笑い」を目的にしているから、後に残したくない「笑い」になる。

 だから、この「笑い」はやらされたり、過ぎると人は傷つき「いじめ」となる。

ウィットな「笑い」は、場を和ませたり盛り上げたり、人を話題の中心したり、

とても便利で有効なものでもある。

 そこで、苦い経験をすることで「いじめ」を自覚し、考えることができる。

 

「いじめ」をなくす為には、この苦い体験が必要になる。

 苦い経験をさせてはいけないと言ってがんじがらめにしてしまったら、人と交わるどころか話をするのも怖くなってしまう。嫌な思いをした、させてしまったという事に気づく。多くの気づきで、嫌な思いに対して強くなり、させないようになる。強くなり、気遣いができるようになる。人の成長にとって欠かせないことである。

 

「いじめ」が、なぜ2次障害なのか。

 それは学校での対応によるもの(学校が社会から追い詰めれている現状を理解しなければならないが)だからだ。学校での「いじめられた」、「嫌な思いをした」、「気に入らない」といった感情に対して否定的にとらえ、感情そのものの原因と解決に翻弄されている。目の前の事に気持ちが行き過ぎて、一つの事実を取り囲む全体を見失い、押し込める方向に流れていく。「いじめ」はいけない。口で言うのは簡単だし、いけないという事もわかっている。でも、起こる。「いけない」という禁止令だけが飛び交い、そこに流れる個人の感情と集団の意識を成長を見落としているからだ。

 

「青少年の自殺」が、なぜ2次障害なのか。

「未成年の自殺}でも触れたが、自殺の理由で一番多く選ばれているのが、「学校問題」だからである。 その中でも対人関係の理由よりも、入試や進路、学業不振が上位を占めている。子どもたちの可能性を引き出し、社会に送り出すはずの学校が命を絶つ理由になっているからだ。

schooledureflection.hatenadiary.jp

  

 

学校を批判しているのでなない。

 学校を取り巻く日本の教育環境、追い込まられているの学校で教育を受けている子どもたち、子どもたちの為にと心身を削って学校という現場に向かう教師。

 見落とされ世の中からこぼれちる人々がいること。

 日本の生活や経済の水準の右肩上がり成長の時代から成熟の時代に入ったこと。

 成熟には、成長とは違った指針や方法が必要なこと。

 子どもたちの「いじめ」や「自殺」を通して、自分事としてどうしたら状況を変えられるのか考えてほしい。子どもと関わることがない人にも考えてもらうことで、何かが始まる。関心が集まることで、変わり始めるから。

 

問題行動等生徒指導上の諸問題(文部科学省 平成28年度 速報値)

平成29年10月26日に速報値が出ました。

 目新しい所では、ここ数年の小学校での件数が増えています。昨年(平成28年)話題に出ていましたが、数が増えています。今後、注目を集めるところです。

 暴力行為と不登校の2つのデータを並べました。何か共通なものを感じませんか。

平成14年度を見てください。増加あるいは横ばいの所、この年に下がっています。

この年に、学校現場で何が起きていたのでしょう。「ゆとり教育」完全実施です。

 平成20年度に暴力行為は増えています。不登校NPOなどのテコ入れを平成17年度から始めたにも関わらず増えています。平成17年にPISAショックがありました。

 ここ数年小学校では英語教育が来年(平成30年度から移行期間)に入ります。

 

英語教育が暴力に、ゆとり教育が暴力や不登校の緩和に、

「それは関係ないだろう」と話にもならないかもしれませんが、実際、数字と学校現場の動向はリンクしている。

 教師に主体性を委ね、学習内容の緩和を図った「ゆとり教育」は随分と批判され、(運悪く?)PIASショックに晒された。でも、この世代は芸能やスポーツなどの分野で活躍する人が多いとも言われています。

 学力偏重へ戻した平成20年度、英語教育の実施の目前の平成28・29年度に暴力行為が増加したのは偶然ではないと思います。教師に対するプレッシャーを、繊細な子どもたちは敏感に感じ取ってしまう。

 学校で、教室で何が起きているのか?

 未来のある子どもたちにとって、何が必要か?

 グローバル化に対応した英語力、旅行程度なら既にウエアブル翻訳機が出ています。

 商談や交渉を英語で?!今の日本でどれ程の人が、そこまでの英語力が必要なのか?

 

無用な知識の詰め込みや膨大な学習内容に押しつぶされ、

もがいている子どもたちからの警鐘ではないだろうか。

 

文部科学省 平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)

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ホリデーハンガー

 夏になると、英国では「ホリデーハンガー」という言葉が聞かれる。長期の休みに入り、給食がなくなると飢える子供が増えることから、こんな言葉使われるようになった。フードバンクでは、子ども用の夏期緊急食糧も配布される。1998年から2002年のスコットランドの調査で高級住宅地グラスコーと貧困区カルトンでの男性の平均寿命の差が28年(前者が82歳、後者が54歳)だったことが判明した。

2017年9月22日 朝日新聞 欧州季評 命の格差 広がる英国 ブレイディみかこ

 

 この記事で驚いたのは、こういった統計があることだ。日本では、子どもの貧困格差が問題視されてもそのデータが表に出てこない。子ども食堂もあちこちで出来ているが、全て民間、NPOによるものだ。子どもの居場所、みんなで食べる、親のつながり(親の孤立を防ぐ)善意や思いで作られている。学術研究などの注目を集め、もっと広く世間に認められ、充実したものになってほしい。

 イギリスのようにこれほどのデータがあるにも関わらず、抜本的な施策がでないのも悲しい。日本でも、脚光をあびてもの政策が講じられるとは限らなない。でも、光が当たれば動き出す。